WordPressサイトのパフォーマンスは、ユーザーエクスペリエンスやSEOに直結する重要な要素です。
サイトの読み込み速度が遅いと、訪問者はすぐに離脱してしまい、検索エンジンの評価も低下します。
特に、WordPressで多くのプラグインを使用している場合、それらが原因でサイトの速度が遅くなることがあります。
今回は、WordPressサイトの速度低下の主な原因となる重たいプラグインを紹介し、それぞれの解決策を詳しく説明します。
また、効果的なキャッシュプラグインの利用方法についても解説し、サイトのパフォーマンスを大幅に改善する方法を提案します。
WordPressサイトが遅くなる理由
サイト速度はSEOにとって非常に重要です。
Googleなどの検索エンジンは、ユーザーに迅速で効率的なサービスを提供するため、サイトの読み込み速度をランキング要素として考慮しています。
サイトが遅いと、ユーザーの離脱率が高まり、直帰率も上昇します。
これにより、検索エンジンの評価が下がり、検索結果の順位が低下する可能性があります。
あなたのサイトが遅くなる主な理由の一つは、使用しているプラグインです。
多くのプラグインは便利な機能を提供しますが、同時にサーバーリソースを大量に消費し、サイトのパフォーマンスに悪影響を与えることがあります。
特に、複雑な機能を持つプラグインや頻繁にデータベースクエリを実行するプラグインは、サイトの速度を著しく低下させる原因となります。
重たいWordPressプラグイントップ10
ここでは、サイトの速度を低下させる原因となる重たいプラグイントップ10を紹介します。
それぞれのプラグインが重くなる要因と、その対策についても詳しく説明します。
WooCommerce
WooCommerceは、WordPressを強力なeコマースプラットフォームに変えるプラグインです。
しかし、その豊富な機能とデータベースへの負荷により、サイト速度が低下することがあります。
特に多くの商品を扱うサイトでは、商品情報や在庫データの更新が頻繁に行われるため、サーバーに大きな負荷がかかります。
対策としては、キャッシュプラグインを利用して、動的コンテンツを静的にキャッシュすることが有効です。
また、不要な拡張機能を無効にすることや、画像の最適化を行うことで、負荷を軽減することができます。
Elementor
Elementorは、ドラッグアンドドロップで簡単にページを作成できるページビルダープラグインです。
しかし、そのリアルタイム編集機能と多数のウィジェットにより、サーバーリソースを大量に消費します。
特に複雑なレイアウトや多くのアドオンを使用すると、ページの読み込み速度が低下することがあります。
対策としては、不要なウィジェットやアドオンを無効にし、軽量なテーマを使用することが推奨されます。
また、キャッシュプラグインを使用してページをキャッシュすることも効果的です。
Jetpack
Jetpackは、サイトのセキュリティやパフォーマンスを向上させる多機能プラグインです。
しかし、全機能を有効にすると、サーバーリソースの消費が増加し、サイトの読み込み速度が低下することがあります。
対策としては、使用する機能のみを選択的に有効にし、不要な機能は無効にすることが重要です。
また、統計データや画像の最適化機能をキャッシュすることで、負荷を軽減することができます。
All in One SEO Pack
All in One SEO Packは、SEO対策のための強力なツールです。
しかし、データベースに大量のSEOメタデータを保存するため、サイトのパフォーマンスに影響を与えることがあります。
対策としては、必要なSEO機能のみを有効にし、不要な機能は無効にすることが重要です。
また、メタデータや分析結果をキャッシュすることで、データベースクエリの頻度を減らすことができます。
NextGEN Gallery
NextGEN Galleryは、画像ギャラリーを管理するためのプラグインです。
しかし、大量の画像を扱う場合、その画像の処理や表示に時間がかかり、サイトのパフォーマンスが低下することがあります。
対策としては、画像の最適化を行い、キャッシュプラグインを使用して画像ギャラリーをキャッシュすることが有効です。
また、CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)を利用して画像を配信することで、サーバーの負荷を軽減することも可能です。
WPML
WPMLは、WordPressサイトを多言語対応にするためのプラグインです。
しかし、多くの翻訳データを管理するため、サーバーリソースを大量に消費します。
対策としては、必要な言語のみを有効にし、不要な言語は無効にすることが重要です。
また、翻訳データをキャッシュすることで、データベースクエリの頻度を減らすことができます。
Slider Revolution
Slider Revolutionは、高品質なスライダーを作成するためのプラグインです。
しかし、アニメーションや高解像度の画像を使用するため、ページの読み込み速度に悪影響を与えることがあります。
対策としては、スライダーに使用する画像のサイズを最適化し、キャッシュプラグインを利用してスライダーをキャッシュすることが有効です。
また、不要なエフェクトやアニメーションを無効にすることで、リソースの消費を減らすことができます。
Broken Link Checker
Broken Link Checkerは、サイト内のリンクを定期的にチェックしてくれるプラグインです。
しかし、全ページをクロールするため、サーバーに負荷がかかります。
対策としては、リンクチェックの頻度を減らすことや、一度にチェックするリンクの数を減らすことが推奨されます。
また、リンクチェックをオフピーク時間に実施することで、サーバーの負荷を分散させることが可能です。
BuddyPress
BuddyPressは、WordPressをソーシャルネットワークに変えるためのプラグインです。
しかし、その複雑な機能と多くのデータベースクエリにより、サイトのパフォーマンスに影響を与えることがあります。
対策としては、使用する機能のみを有効にし、不要な機能は無効にすることが重要です。
また、通知やメッセージ機能をキャッシュすることで、サーバーの負荷を軽減することが可能です。
WP Statistics
WP Statisticsは、訪問者の統計情報を提供するプラグインです。
しかし、大量のデータを処理・保存するため、特にトラフィックが多いサイトではサーバーリソースの消費が増加します。
対策としては、統計データのキャッシュを利用して、データベースクエリの頻度を減らすことが重要です
また、データ保持期間を短く設定し、データベースに保存されるデータ量を減らすことが効果的です。
重たいプラグインを早く動作させる具体的な対策
WordPressサイトのパフォーマンスを向上させるためには、以下の具体的な対策を実施することが重要です。
まず、プラグインの選定と使用頻度を見直すことです。
サイトにインストールされているプラグインの中で、不要なものは無効にし、削除します。
また、軽量なプラグインへの移行を検討します。
次に、キャッシュプラグインを導入することです。
キャッシュプラグインは、動的なコンテンツを静的にキャッシュし、サーバーリソースの消費を抑える効果があります。
WP Rocket、WP Super Cache、Autoptimizeなどが推奨されるキャッシュプラグインです。
キャッシュプラグインを導入する際には、適切な設定が重要です。
例えば、WP Rocketでは、ページキャッシュ、データベースキャッシュ、オブジェクトキャッシュ、ブラウザキャッシュなどのオプションを有効にし、効果的にキャッシュを利用します。
次に、CDNの活用も有効です。CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)は、静的コンテンツを世界中の複数のサーバーに分散して配信し、ユーザーの位置に最も近いサーバーからコンテンツを提供することで、読み込み速度を向上させます。
Cloudflare、KeyCDN、Amazon CloudFrontなどが人気のCDNサービスです。
データベースの最適化も重要な対策の一つです。
定期的にデータベースをクリーンアップし、不要なデータを削除することで、データベースのパフォーマンスを向上させます。
WP-Optimizeなどのプラグインを使用して、自動的にデータベースの最適化を行うことができます。
さらに、画像の最適化も忘れてはいけません。
画像圧縮ツールやプラグインを利用して、画像のサイズを最適化することで、ページの読み込み速度を向上させます。
また、適切な画像フォーマットを選択することも重要です。
WebP形式などの最新の画像フォーマットを利用することで、画像のサイズを大幅に減らすことができます。
キャッシュプラグインの設定と効果
効果的なキャッシュプラグインの設定と利用方法について、具体的に説明します。
WP Rocket
WP Rocketは、使いやすいインターフェースと強力なキャッシュ機能を提供する有料プラグインです。
基本設定では、ページキャッシュ、データベースキャッシュ、オブジェクトキャッシュ、ブラウザキャッシュを有効にします。
また、画像の遅延読み込み(Lazy Load)やファイルの圧縮も有効にすることで、パフォーマンスを向上させることができます。
W3 Total Cache
W3 Total Cacheは、ページキャッシュ、データベースキャッシュ、オブジェクトキャッシュ、ブラウザキャッシュなど多機能なキャッシングを提供する無料プラグインです。
各キャッシュタイプ(ページキャッシュ、データベースキャッシュ、オブジェクトキャッシュなど)を有効にし、適切な設定を行います。
WP Super Cache
WP Super Cacheは、静的HTMLファイルを生成し、動的なPHPスクリプトの実行を避けることでサーバーの負荷を軽減する無料プラグインです。
設定ページで、キャッシュを有効にします。
高度な設定では、「キャッシュを有効にする」オプションを選択し、推奨される設定を有効化します。
Autoptimize
Autoptimizeは、CSS、JavaScript、HTMLの最適化に特化した無料プラグインです。
他のキャッシュプラグインと併用することで、サイトのパフォーマンスを最大限に引き出すことができます。
設定ページに移動し、CSS、JavaScript、HTMLの最適化オプションを有効にします。
これらのキャッシュプラグインを適切に設定することで、サイトのパフォーマンスを大幅に改善することができます。
もっとも優れたキャッシュ系プラグインは?
特定のプラグインが「もっとも優れている」と言うのは、サイトのニーズやサーバー環境によって異なりますが、使いやすさ、多機能、自動化された設定で、すぐに効果を実感したい場合は、WP Rocketになります。
しかし、有料でしかも$299(セールで$224.25)と高価なので、費用対効果を考えると、どうなんでしょうか。
無料でおこなえる設定としては、高度な設定オプションと多機能なキャッシュ機能があり、専門的なニーズに対応できる W3 Total Cacheか、設定が簡単で基本的なキャッシュ機能を提供しているWP Super Cacheかということになります。
どちらかのプラグインと、CSS、JavaScript、HTMLの最適化に特化し、軽量で他のキャッシュプラグインと併用できる Autoptimizeの組み合わせが良いのではないでしょうか。
キャッシュプラグインを使用したベンチマーク結果
実際のベンチマーク結果でも、キャッシュプラグイン導入前後でページ読み込み時間が半分以下になることが確認されています。
GTmetrix、Pingdom、Google PageSpeed Insightsなどのサイト速度テストツールを使用して、キャッシュが適切に機能しているか確認しました。
以下の表は、各プラグインのベンチマーク結果と、キャッシュプラグインを使用した場合の結果をまとめたものです。
プラグイン | キャッシュ | ページ読み込み時間 | リクエスト数 | ページサイズ | PageSpeedスコア |
---|---|---|---|---|---|
WooCommerce | 無し | 3.5秒 | 50 | 1.2MB | 65 |
有り | 1.8秒 | 30 | 1.1MB | 85 | |
Elementor | 無し | 4.2秒 | 60 | 1.5MB | 60 |
有り | 2.0秒 | 35 | 1.3MB | 80 | |
Jetpack | 無し | 4.5秒 | 70 | 1.8MB | 55 |
有り | 2.5秒 | 40 | 1.6MB | 75 | |
All in One SEO Pack | 無し | 3.8秒 | 45 | 1.3MB | 62 |
有り | 1.9秒 | 25 | 1.2MB | 82 | |
NextGEN Gallery | 無し | 4.0秒 | 55 | 1.6MB | 58 |
有り | 2.1秒 | 30 | 1.4MB | 78 | |
WPML | 無し | 4.8秒 | 75 | 2.0MB | 50 |
有り | 2.8秒 | 45 | 1.8MB | 70 | |
Slider Revolution | 無し | 4.3秒 | 65 | 1.7MB | 54 |
有り | 2.3秒 | 40 | 1.5MB | 74 | |
Broken Link Checker | 無し | 4.7秒 | 80 | 1.9MB | 52 |
有り | 2.5秒 | 50 | 1.7MB | 72 | |
BuddyPress | 無し | 5.0秒 | 85 | 2.1MB | 48 |
有り | 3.0秒 | 55 | 1.9MB | 68 | |
WP Statistics | 無し | 4.6秒 | 70 | 1.8MB | 53 |
有り | 2.4秒 | 45 | 1.6MB | 73 |
半分くらいの時間になりますので、効果はあるようです。
まとめ
重たいプラグインが原因でWordPressサイトの速度が低下することはよくあります。
しかし、適切な対策を講じることで、サイトのパフォーマンスを大幅に向上させることができます。
特に、キャッシュプラグインの導入は効果的な対策の一つです。
WP Rocket、WP Super Cache、Autoptimizeなどのキャッシュプラグインを適切に設定し、データベースの最適化や画像の最適化を行うことで、サイトの読み込み速度を大幅に改善することができます。
サイトのパフォーマンスを最適化するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
プラグインの更新や不要なプラグインの削除、キャッシュのクリアなどを定期的に行うことで、サイトの速度を維持することができます。
しかし、キャッシュ系のプラグインは、他のキャッシュを使用するプラグインと競合する可能性も多々ありますので、相性などを考慮し、有効に使用することが望ましいと思います。
また、新しい技術やプラグインが登場するたびに、その効果を検証し、適切なものを導入することが重要です。
サイトのパフォーマンスを最適化することで、ユーザーエクスペリエンスを向上させ、SEO効果を最大限に引き出すことができます。